化物語 #4

※8日の深夜28時より遡及

千石撫子の軽妙洒脱なラップが評判の4巻。そうそう、化物語DVD&BDにはそれぞれOPソングの入ったCDが付いている。ぼくはアニソン好きする方の若者だし、そういう曲は積極的にiPodに取り込む。同好の者同士でカラオケに行って歌ったりもする。
そんなわけあるか。ぼくはアニソン好きする方の若者には違いないけど、その事実はひた隠しにして生きている。ひた隠しに生きて行きたいのに同好の者同士でカラオケに繰り出してどうする。
アニソンはiPodに取り込んで個人的に聴く。
忍野メメという導き手がいる。ぼくはこのキャラが好きで、特にタバコを咥えているところがいい。ほとんどの挿話で、自分は動かずに暦に助言して問題を解決させてしまうところもいい。これはいわゆるアームチェアディティクティブというやつでは全くない。
助言どおり滞りなく進んだら面白みが無い、というか忍野が主人公になってしまうので、実践段階において想定外の事態が起き、それを暦が体を張ってカバーする。ここに暦の主人公としての面目が確保される。
本巻には撫子と忍野のオーディオコメンタリーが収録されていて、ぼくは通常の音声で見終わった後、これに切り替えてもう一度視聴した。
これをレイヤーで説明すると、映像はフィクションのレイヤーだ。普通のコメンタリーは製作者による裏話であり、裏話とは明らかにノンフィクションのレイヤーだ。ノンフィクションとは見ているぼくと同じレイヤーに他ならない。
本作のコメンタリーはここに作中登場人物というフィクションのレイヤーを持ち込んでいる。キャラが映像を見ながら後日談を語る。言い換えれば、これは映像を見ながら後日談を語るというフィクション。問題は、ノンフィクションのレイヤーにいるぼくも一緒の映像を見ているという点。ここでぼくは後日談を語るキャラが、ぼくと同じレイヤーにいるかのような錯覚を覚えてしまう。
実際はフィクションのレイヤーにいながら、コメンタリーという死角にいるのをいいことに「全国に発売されてしまう」などとノンフィクションのレイヤーに越境する。